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ドラマCD『レン物語』感想4
絵の下の文章はCD内容バレですのでご注意ください。
トラック2 後半 ~ トラック3 前半 ・・・ 大切なもの
(前回の感想からの続き)
レンちゃんは本当はとても優しく清らかな心を持っている女の子。
と言うか、清らかすぎるんだと思う。
清らかすぎるからこそ心を深く深く傷つけられてしまった。
無垢な赤ちゃんに「自分にはもう無理な」輝く人生を託している様子が、切ない。
無理じゃない。絶対に。レンちゃん、君こそ幸せになるべきだ。
しかしこの頃、執行者としてこれから自分が実行していくことと、
一般庶民の小さな赤子の幸せを願うこととが、矛盾しているのには気づいていない。
結社の仕事と、庶民の不幸とがどこかで繋がるかもしれないなどとは考えなかったろう。
殲滅天使レンは、世界に復讐するためにその力を行使していたのではない。
ただただ、「強い自分」を感じるため、心の闇の渇望を満たすために暴れたのだろう。
さて、CDの続き・・・
悪夢から醒めたレンは「目的地」クロスベルへ。
ここに、3rdで「影の国」から脱出する時のレンちゃんの本音ドッカーンの名場面も
欲しかったが・・・さすがに長くなるか・・・? いや! どれだけ長くてもどれだけ
高くなっても買うから、やはり入ってほしかった。
あの時のレンの「どうして笑ってお別れできちゃうの?」という心の底からの疑問とか
真っ赤になって言う感じの「もういい・・・もういいからあ!」とか
「大嫌い・・・でも・・・同じぐらい・・・大好き」とか!
西原さんの声でぜひ聞きたい台詞が目白押し。
この場面のフルボイス化、何らかの形で実現しないものだろうか・・・!
さてクロスベルは創立記念祭。
ゲームやった時のこと覚えてる・・・
あの時はヘイワース夫妻の真実を知らないから、夫妻をとことん憎んでいたな・・・
夫妻憎けりゃ土地までってことで、クロスベル自体ムカつく!と思ってた。
だからゲームやってる時は記念祭? フン! 祭なんぞ楽しめるか!
という思いだった。
でも今はもう全て分かっているから、この辺りは平穏な心で聴ける。
あとドラマCDで初めて知ったが、レンちゃんはこの祭を結構楽しんでいるね。
「なにから見ようかしら・・・迷っちゃうわ。」だって! か~わいい~
無邪気と「おすまし」が同居する言い方、小さなレディ全開だな。
そしてレンちゃんはロイドを発見して「おにいさん!」と声をかける。
この「おにいさん」って言い方もまた・・・やたらと かわええなぁ~
レンの名を確認するロイドに
「もーっレディの名前をわざわざ確認するものじゃないわ!」
その通りでございます!!
「とーぜんのように覚えていて、再会の挨拶をするのが紳士でしょ?」
いいなぁ~ あどけない声の少女がこういうことをきっぱり言うのって。
こうして実際に声で聞くと尚更いいなぁ~
この辺りの会話、実に「いつものレンの喋り方」であり、
ほんとにあのゲーム内のレンが目の前にいるかのようである。雰囲気でてる。
ロイドが迷子を捜していると聞いて、レンは
「写真か何か持ってる? レンが知ってるかもしれないわっ」
この最後の「わっ」の言い方も むやみに可愛いんですけど・・・
どうしたらいいんだこの可愛さ・・・
そして写真を見た時のショック。それは自分の「弟」・・・
「こんな子、見覚え無いわ」の言い方に、
動揺を全く隠せてない様子がよく表れている。
冷静で演技派の筈の天才なのに、焦ったり衝撃を受けたりすると、
すぐ動揺がバレバレになるところもレンちゃんの可愛い魅力。
それを実際に再現してくださって感無量です。
でもすぐにもとの調子を取り戻すレンちゃん。
手伝いをかってでるレンちゃん。
ロイドと支援課の面々との通話に聞き耳を立て、的確に推理を展開するレンちゃん。
少ーし気怠そうで、少ーし世の中を鼻で笑ってて、少ーし自慢しいで・・・
それなのに鼻につかない、むしろ可愛くてしょうがなくなるような喋りである。
「支援課の端末、貸してもらうわね!」
思い立ったら行動が素早いレンちゃん。この言い方は気怠げではなく、
レンちゃんにしては溌剌としている。手かがりを探そうとするこの勢い。
どうでも良さそうにしながら、実は心の底では早く見つけたいと思っているのだろう。
端末を凄い速さで操作するレンちゃん。おそろしい子・・・
君は何者なんだーと言うロイドに
「分からなくてもいいわ」と言いながら、思わせぶりなヒントを出すレンちゃん。
そういうところも可愛い。本当はエステルたちに伝わってほしいんだろ~このこの~
ティオに仔猫はあなただったんですねと言われて
「ばれちゃったっ」・・・ザ・いたずらっ子!とでも呼ぶべき言い方。
「弟」を探すために、簡単に秘密を明かしてしまった自分を笑うようにも聞こえる。
「弟」コリンの無事が確認された時の「無事・・・みたいね・・・」
この台詞にはいろいろと複雑な思いが込められている。そう思える言い方だ。
無事であってほしいと本当は願っている。心の底では。
でもそんなことは願っていない、と自分をごまかしている。
いや本当にはそんな自分の願いに気づいていないのかもしれない。
言葉に出している通り、どんな運命になろうと冷静に見てられると思っている。
あの子が死んだり酷い目に遭うのを望んでいるわけじゃない。
でも何があったって助けるつもりはない。レンは助けるつもりはない・・・はず。
なのにどうして「無事」と分かって安心している自分がいるのか?
そういうはっきりしない疑問が渦巻いて、
「無事みたいね~良かったわね!」なんて芝居をすることさえ思いつかずに
自然とつぶやくように出た「無事・・・みたいね・・・」だったのだと思う。
そして魔獣がコリンに近づいていることが分かるやいなや、
鋭く息を吸い込んで走り出すレン。
ここ、ゲームでもすごく感動した・・・
だってあの残酷で無慈悲な悪のヒロイン殲滅天使が・・・
ねたみ・うらやみ・憎しみの対象である筈の「弟」を救うために全力で駆け出す・・・
レンは確実に変わってきた。いや、レンは初めから凄く心の優しい子だ。
ただそれを表現する機会や場が今まで無かっただけだ・・・
いや、そんなことよりも、とにかく人を救うために真剣になるレンちゃんを見たら
これまでの経緯を知っている人は、感動しないわけがない・・・
「さがりなさいっ! カラミティスロウ!」
おおっこの技名までドラマCDで聴ける日が来ようとは!
だって3rdの戦闘でも大鎌投げる時は「しんぢゃえ~」だったからな~
「しんぢゃえ~」もひたすらやわらかわええけども、この場面には合わないからね。
技名を叫んで気合いを入れるレンちゃんすばらしい可愛さ。
「こっちよ!いそぎなさい!」
「おにいさんたち、おねがい!」
これらの台詞にも凄い真剣さが宿っている。
コリンに「もうだいじょうぶよ・・・」と言うのは、今度はすごーく優しい言い方。
このやわらかさ、小さな弟を慈しむ愛あふれる「姉」を感じさせる。
これほどまでにやわらかく包み込まれたら安心しすぎて眠っちまうって。
しかしコリンはショックを受けているからか、直後に安心しすぎたからか、
大泣きを始めてしまう。
この時の戸惑った「ちょ、ちょっとぉ」もめっちゃ可愛いですね。
この大泣きに、思わず黒い感情が湧くレン。
「どうして泣くのよ! もう危なくないって言ってるのに・・・」
言い方が、さっきとうってかわって鋭い刃物のようになっている。
無理もない。地獄から這い上がってやっと生きてきた自分に対し、
この弟ばかりぬくもりに包まれ、何不自由なく、無邪気に過ごしている。
そんな幸せ者が、何を泣くのか。これ以上何を望むのか。
「あなたなんか・・・あなたなんか・・・」
ここの声のトーンがまた秀逸・・・
どうしようもない黒い感情、沸き起こる、とらえどころのない怒り。
ぐにゃりと、レンの感情が歪むのが見えるかのような、
心の暗がりから無理に押し出しているような声音。
「ほんとは助けるつもりなんて、全然なかったのに!」
「見てるだけって決めたのに、絶対かかわらないって」
「どうして・・・どうしてレンは・・・」
ロイドたちがいることなど忘れたかのような台詞。
自分自身の、解読できない心を次々に吐き出していく。
そして次第に泣き出しそうな声になる。こっちも涙が出てくる。
レンの中の葛藤が、痛いほど感じられるから。
そしてロイドがトドメを言って、レンは本当に泣き出してしまう。
ロイドおにいさんは、レンはきっと自分で大切なものを守ったんだ、と言う。
そうなのか。そう思っていいのか。
心の底の、自分でもよく見えなかった部分、自分で蓋をしていた部分を
掘り起こされて、少し本当の自分に近づいて・・・
まだまだ葛藤はあるけど、自分を疑わなくていいんだ、と知らされたかのようで、
どこか「安心」して、思いっきり泣いて感情を吐き出せたのだ・・・
そんなふうに感じた。
レンちゃんの心に何重にも張り巡らされている壁のようなものが取れて、
本当に感情を素直に表現して泣いている。
今のレンちゃんは非情な執行者もミステリアスな工房の少女も演じていない。
自分の感情どおり、あるいはその感情にびっくりして大泣きする女の子。
いろいろ超越した天才でも、こういう所は、ひとりの純粋な少女なのだ。
そういうことを感じさせる、とても自然な泣き方だった。
・・・ほんと、このCD、レンちゃんのいろんな、あらゆる感情の声が聴ける。
それがどんどん移り変わり、心をあちこちに大きく揺さぶられる。
レン物語すごい。あらためてすごい。