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(12/19けっこう加筆&修正)
このドラマCD、予想以上にすごすぎました。
レンちゃんがメインの話なら絶対すごいとは思っていましたが、その予想をも超えました。
前半の内容が非常につらいので、強い覚悟が不可欠なことは確かです。
ゲームで既に泣き尽くしたかと思った私でも、やはり声を聴くと更に更に・・・
心の闇を表す語りや、苦しく悲しい台詞の数々が100倍も心にズシンときます。
が、それだけにラストの幸せの一歩を踏み出せた様子は、すご~く心があたたまります。
無限大に可愛くて、聴いてて思わず「可愛い」と口に出して言ってしまう場面も
随所にちりばめられています。溶けます。可愛くて溶けます。
レンの深い闇・心の傷・戸惑い・健気にふるまう様子。
そして意地を張ってる部分や、本当は純粋すぎる可愛らしさ。
そういう色んな様子を表す際の西原久美子さんの演技が秀逸の極みです。
満足。満足です。満足すぎます。
欲を言えば、3rdの最後近くのあの場面も欲しかったところです。しかし、
CDラストの飛行船に乗る前の場面が良すぎるので、補って余りあると思います。
もう何度も聴いてますが、何度聴いても心の奥底まで響きます。
運転しながら聴くのは、あまりに引きずり込まれるので危ないのですが・・・
どうしても聴きたいので聴いてしまっています。
寝る前にも聴くし、何か作業しながらも聴いています。
いや、聴き始めるとその世界に入ってしまって、作業の手は止まります。
もちろん最初に聴いた時はただただじっとして聴き入りました。
喉が渇いても飲み物を取りに行けず、寒いのに暖房つけるのさえ忘れてました。
さて、ここから下は詳しい内容のネタバレとなるのでご注意ください。
トラック1 ・・・ レンの過酷な過去の描写
《 私は歩んではいないのだ。 》
いつものレンの、ささやくような可愛い声でのタイトルコール・・・その前に。
暗い暗い、レンの心の闇を表したかのようなトーンの語りが入る。
じわりと、闇に引き込まれる感じがした。
そして予想外、「あの4人」にも個別に声があった。
クロス、エッタ、アジェ、カトル。
下の8行は、個人的な想像であり、100%真実とは言えないかもだが・・・
おそらくは彼らがレンの別人格となる前、
本当に個人として存在していた頃の声なのだろう。
だが、このドラマCDの内容においては、既に4人は・・・この世にない。
衰弱か、あるいはもっと非道い何かを原因として死去しているのだろう。
だから、このドラマCDで喋っているのは、既に最初からレンの別人格。
レンの精神の中で響いていた声であり、本当はレンの一部に過ぎない。
レンは無意識に自分の精神を守るために彼らの人格を「取り込み」
心に4つの盾を創りだしたのだろう・・・。
「クロス」の声がレンを起こす。
クロスに起こされて「んぅ…」と起きる声が可愛すぎる。
「アジェ、」って語りかける声も可愛すぎる。
カトルを心配して泣きそうになる様子も可愛すぎる。
可愛すぎるだけに・・・心にズシン、ガツンとくる。
こんなに可愛らしく幼く、無垢な筈のレンが、この非道な「楽園」という場所で
心も体もズタズタになるようなことをさせられていたのだ。
少年クロスも元気でおませなエッタも華麗で大人びたアジェも・・・
いつも残酷に痛めつけられているカトルも、みんな実は「レン」だ。
ここまでで、レンの声は、大きく分けて3種類の喋り方が聴けた。
最初の闇の底に沈んでいるような暗い声。
後にこの忌まわしい「楽園」を思い出し、無機的に語る声。
幼い頃に「お姫さま」として別人格たちに守られていた無垢な声。
壊れた他の人格の有様を隠すクロスに「はじめから僕達だけの世界さ」と
言われて「そう・・・だったかなぁ・・・」と微妙に不安げに言う様子。
罪の色の怪獣のらくがきをしてるときの無邪気な喋り方。
すごく可愛い・・・と同時に、心にちくちく刺さってくる感じがした。
《 レン、体をふいてあげる。今日はひどく汚れてしまったから。 》
自分の「汚れた」体を拭きながらレンは心の中のクロスと会話をしていた。
クロスはひたすらレンに「目隠し」をしたが、クロス自身の疲弊は隠せない所まで来ていた。
クロスは疲れている。そうレンは思った。・・・が、本当に疲弊しているのはレン自身である。
「とっくに死んでいた」クロスに、早く「殺して」ほしかったとなじられ。
そしてレン本人・・・もともとのレンの人格が「客」の前に出されることになった。
《 わたしは、いつものように仕事に出た。 》
これまで、「別の子どもたち」がしていたはずの「仕事」も・・・
実は自分がさせられていたこと、自分の別人格がしてくれてたことだと・・・
認識してしまったのだろうか。
「わたしじゃない!」と叫ぶレン。心が痛い。痛すぎる・・・
妖しげな「シロップ」を飲まされ、どんなことも「よろこんで」と呟いて・・・
心も体も死を超えてボロボロにされながら・・・
最初は無機的なつぶやきだった「よろこんで」がだんだんに叫びになる。
壊れたくない、負けたくない、抗いたい、生きたい。
少女は限界を超えて、自分を切り裂き続ける大きな闇に立ち向かっていた。
必死で。死にものぐるいで。勝ち目のない筈の凄惨な戦いを。
「よろこんで」の叫びが、そのことを痛烈に、聴く者の心に刻み込む。
そして今までの「4つの盾」たちの台詞が重なり合う。
クロスたちの言っていた筈のことが、すべてレンの声。
・・・これがまた凄かった。聴いていて、心にグサグサ突き刺さった。
こんなに可愛い声なのに。こんなに純真で無垢で、きれいな声なのに。
台詞の1つ1つが容赦なくこちらの心に突き刺さってきた。
レンの痛みが伝わってくるかのようだった。
いや、本当には分からない。本人でなければその痛みを完全には知ることができない。
しかし、想像を絶する痛みなのだということが伝わった。
《15番》レンは、突然解放されることになる。
結社《身喰らう蛇》がたまたま《楽園》を壊滅させに来たから。
《身喰らう蛇》で執行者としてもNo.15となったのは何の因果か。偶然か。
あるいは・・・わざと、か。
それはレンに対する悪意ではない。むしろ逆・・・レンを救うため。
15という忌まわしい数字に、これから「楽しい」思い出を強く「上書き」するためか。
強いレンだけを思い起こさせる数字に塗り替えるつもりか。
レンを痛めつけた悪魔の数字を、今後世界を断罪する苛烈な天使の数字とするためか。
・・・いや、たぶん、ただの偶然だったのだろう。
だが、その偶然のおかげでレンにとって15という数字は「強いレンの象徴」となった。
思い出す度に心苛まれる忌むべき数字とならずに済んだのだ・・・と、想像する。
5人がいた・・・いや、レンのいた部屋から、レンは助け出される。
レンが「5人で暮らしていた」部屋、と言っていたのは、レンの心の中のことなのだろう。
そして「外に出た」とは、多重人格の「盾」が突き破られ壊れてしまったことを示す。
レンは「レンだけ」になってしまってからも、どうにか生きた。
闇に抗って。まわりの全て・・・勝手に回る「世界」に嬲られながら。
力無くうめきながら倒れていても、その気高い精神がヨシュアの目に「強さ」と映った。
ヨシュア(と、そこにいるはずのレーヴェ)に助けられる時の、そのか細いうめき。
それは限りなくか弱く、か細く、幼く、聞く者の心を苛み・・・
また、酷い状態でも健気に生きようとする、愛おしい魂さえも感じさせる。
ヨシュアは一度、壊れている。しかし、レンは壊れていない。
ぎりぎりだが、生きる強さを保っている。この子は凄い。この子は強い。
だから、こちらが助けるにもかかわらず、思わず出た言葉が・・・
「君は、強いね」なのだろう。
そして、その言葉がレンの心の奥にも響く。
弱く、儚く、いたぶられ責め苛まれ続けるだけだった自分が「強い」?
そうか、レンは、強い。レンは強いんだ。
これからは、勝手に回る世界などに負けやしない・・・
世界を自由にできるレン。
世界に願いを叶えさせる方法が分かるレン。
思うさま暴れて弱いやつらをあざ笑うことができるレン。
やっと、やっと「自分」を手にいれた。
「わたしじゃない!」と叫んだ自分は、やっぱりレンではなかった。
今のレン、執行者として類い希な能力を発揮するレンこそ、レンなんだ。
そうして、レンはその小さく可憐な容姿に似合わぬ強烈な強さと残虐性を振るうようになる。
そういうレンの心の動きが、「レンは強い」の叫びからどんどん伝わってくるようだった。
やはり、レンの声が入ると伝わり方が凄い。
(つづく)