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11/8 手紙の途中に2行追記
ずっと下の方にも4行追記
(この手紙は、『空の軌跡』三部作と『零の軌跡』のバレを含みます。)
(また、手紙の下の方には『碧の軌跡』の盛大なネタバレがあります。)
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パテル=マテル 様
最初に会った時、あなたはその赤紫の重そうな体で空を裂いて現れましたね。
その堂々とした、声も出ぬほどの畏怖を感じさせるお姿、立派でした。
小さな小さな、その体躯に似合わぬ大鎌を持ち妖しく笑う少女・殲滅天使レン様と
大きな大きな、ごつくて怖そうなのに何故か限りなく優しい目をしたあなたとは
似合いすぎるぐらい似合っていて、密かにあなたに嫉妬を覚えたものでした。
あなたはいつもレン様と共にありました。
「どんな命令も聞く」というよりは「レン様のどんなお願いも叶えてあげる」
正にレン様が「パテル=マテル(本当のパパとママ)」と呼ぶに相応しい存在でした。
パパの力強さと、ママの優しさで、レン様を包み、守り、慈しむ。
あなたがそのような存在になったのは、レン様がそのように求めたからですよね。
奇しくも外道の手によって、荒っぽくあなたとの「接続」を強行された、幼き少女。
それが、殲滅天使レン様。強がっていても彼女は、心の根っこは傷だらけでした。
自分を愛し守ってくれる筈の両親に裏切られ、闇に売られたと思い込んだレン様。
だからレン様は、そんな両親をニセモノと考え、あなたを本当の両親にした。
ところが、レン様があなたに求めたものは、甚だ曖昧な幻像だったのです。
レン様は「本当のパパとママ」なるものがどのようなモノか分からなくなっていた。
それは「本当の両親」である筈のあなたに「命令」していたことからも分かります。
両親と子どもとの関係はそういうものではない、とは思わなかったのです。
いくら天才で膨大な量の書物を読んでいても、肌で感じないと本当には分からない。
いや、もっと幼い頃の記憶の底に優しい両親像はあったでしょうが、
それを新たな忌まわしい記憶によって乱暴に塗りつぶされてしまった。
だからとにかく強くて何でも言うこと聞いてくれて優しくて守ってくれる存在。
そういうぼんやりしたモノを求められ、あなたはそれに応えていった。
結果、その機械の頭脳で、この「か弱き少女」を守りたい、と感じるようになった。
だからあなたは、いつも身を挺してレン様を守った。
レン様が力尽きても、すぐさま全回復させた。
レン様が命令すれば、どんなえげつない攻撃も行った。
レン様が寒そうだったら、あたたかい空気を出してあげた。
レン様が念じれば、幻影の空間にまでその体を出現させ、敵を蹴散らした。
そして・・・命令を無視して、レン様をエステルとヨシュアのもとに降ろした。
本当は逃げたくないのに、自分を諦めて逃げようとするレン様の本心を読み取って。
そんなあなたに、ヨシュアは思わず人間に話すように声をかけましたね。
そうだ、あの時、もうあなたは幻像ではなかった。
パテル=マテルという名の、レン様を守る騎士、レン様の一番の友達だったのです。
オーバル魔ペットJoya
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ここより英雄伝説『碧の軌跡』のバレを含みます。
インターミッションの最後、マリアベルの台詞を見て「あ、こりゃ黒幕だ」と思った。
当たっていた。しかも世界征服を企む親父をも利用するほどの悪女だった。
タワー建て始めた頃から、この親父(ディーター)はおかしいな・・・ラスボスかな・・・
と思っていたが、「おかしい」は当たっても、「ラスボス」はハズレだった。
じゃあマリアベルがラスボスか? と思ったら、なんの。黒幕の黒幕がいた。
さすがにこれは「全てに通じている人物」とのヒントが無かったら全く予想しなかった。
それにしてもさすが軌跡シリーズ、「意外な人がラスボス」は健在、いや絶好調だ。
まだラストダンジョンには突入してないが、黒幕の黒幕の黒幕まで出てきてももう驚かん。
・・・というか! 黒幕の黒幕とかもう、どうでもいいわ!
敵のメンツのアイツもアイツも全員どうでもいい。カンパネルラ以外はどうでもいい。
アリオスはシズクの父ちゃんだからどうでもよくないが、もう知るか。
敵は全部殲滅! 殲滅だ!
なぜこんな乱暴な言葉を叫ぶかというと、本当にショッキングなことが起きたから。
その原因を作った今回の敵どもは、もうマジでギタギタにしてやる。
イリアさんが大けがしたこともそうだが、これから語るのは、それ以上・・・
いや俺にとっては、比べられないほどの衝撃。心にぼっかり穴があくほどの衝撃。
・・・パテル=マテルが、逝った。
おおまかに、順番に説明する。
クロスベルの危機に駆けつけたのはケビンやリースだけでなく、あの「3人」も。
レン・エステル・ヨシュアがクロスベルの危機に駆けつけたことは非常に嬉しかった。
特にレンが「これ以上好き勝手なことはさせない」と、まっすぐな感じで言っている
のが・・・もうなんか・・・嬉しすぎて感無量。
リベールでいろいろあって変わりつつあるんだろうな・・・
(嬉しいシーンなのに声が無いのは、零の時と同じで寂しい限りだが)
3人は敵のクソロボット(神機)に立ち向かう。
パテル=マテルも含めて息が合ってる感じですごく目尻が下がる。
ところが。最初は互角に見えたが、次のシーンではパテル=マテルはボロボロに。
レン、あんまりパテル=マテルがやられそうなので、思わず1人で前に出てしまう。
もと執行者とは思えない激情。・・・いや、もとから結構突っ走る方か?
とにかく、パテル=マテルにただ命令していたワガママ少女はもういない。
無理をさせて、動かなくなるとだだっ子みたいにイヤイヤしていた頃とは違う。
逆にパテル=マテルを守ろうとする、健気な感じがすごくいい。
レンは爆風で飛ばされて、キャノンみたいので狙い撃ちされそうになる。
(この時のレンの「・・・ぁ・・・」が、か細くて異様に愛おしい)
そこにパテル=マテルが来てクソロボットを掴んで飛び上がる。
自爆する、という意思がレンに伝わった。
その時、止めようとするレンの様子や・・・
自爆して残骸と化したパテル=マテルが最後の力を失うまでの様子。
そしてレンとのお別れの言葉。
その辺りの様子は、あえて説明しない。自分の目で見てほしい。
これが本当の「強さ」だよ。ええ?博士さんよ。クソロボットさんよ。
装甲じゃないよ。性能じゃないよ。破壊力じゃないよ。
最後に誰かを守りきる強さだよ!
にしても・・・この話・・・レン、可哀想すぎないか・・・?
誤解が解けた、自分の「もともとの家族」がいるクロスベルを救いにやってきたのに、
大切なパテル=マテルが、自分を守るために壊れてしまうという・・・
エステルとヨシュアがいるから、きっとレンは大丈夫・・・とは、思うが・・・
パテル=マテルの自爆を知らないロイドたちは、何かの用でマインツへ向かう。
宿で、偶然、エステルたちに会う。なんとヨルグもそこにいる。
泣き疲れて眠って、まだ頬をほんのり染めて涙をこぼしているレン。
そして何事か寝言をつぶやくレン。果てしなく愛おしい。
やばいな本当に守ってあげなくては 守ろうとしない人は人じゃねぇ
ヨルグは、自らの意思でレンを守り抜いたパテル=マテルに賛辞を贈った。
人形師冥利に尽きると。本来可能な自律行動の範囲を超え、「心」を持ったと。
そして「彼」が心を持ったのは、レンと出会ったからだ、と。
・・・そうか、ヨルグもパテル=マテルを「彼」と呼ぶか。
「パパとママ」の筈なのに、『零の軌跡』でレンがパテル=マテルを「彼」と言っていた。
上の「手紙」に書いたように、本当の両親像がぼやけているからだろうか。
或いは「影の国」で、エステルたちの前で本音の中の本音を吐露してしまったことで・・・
レンが本来持っている、人とつながりたい心、人を信じる心が、ささくれた心とぶつかって、
曖昧な両親像が更に不鮮明になり、守護者として「彼」と呼ぶようになったのだろうか。
さらにヨルグは言う。今回のことがレンにとっては却って良い方に向かうかもしれぬと。
・・・なんだと? と思ったが、次の言葉が俺の心に響いた。
過去にできなかった「別れ」を体験した・・・なるほど・・・そうか・・・。
しかし・・・響いたが、納得はいかない・・・
必ず体験しなければならないものでもないだろう・・・「別れ」なんて。
例えば、寿命まで精一杯生きた親を看取るような「別れ」なら分かるが、
こういう、理不尽で唐突な「別れ」などというものは・・・。 (11/8 追記)
パテル=マテルにヨルグも予想しなかったほどの自我が芽生えていたのだとすれば、
「レンを守るために自爆」以上のことを考えていたかもしれない。例えば・・・
本当にレンの心まで守ろうとするなら自爆などするべきではない
しかし「多分ここが死に場所」 レンに悲しい思いをさせるのは忍びないが
このクソロボット(神機)に敵わないのも事実 これ以上長引けばレンを守れなくなる
それに 自分が消えれば結社によるレンへの監視の目も緩くなるのではないか?
もはや 自分が消えてもレンを守る存在は、そこにいる・・・
さすがにそこまでは考えないか・・・いや・・・「彼」なら、或いは・・・
初めは無骨に、次第に優しくあたたかく、レンを守り続けた守護神パテル=マテル。
レンの生まれ故郷であり、レンの心を深い闇から明るい光へ引き上げた「運命の地」
クロスベルにて、永遠の眠りにつく。あなたの愛は、機械を超えた。人間を超えた。
あなたは空を駆ける英雄となり、光そのものとなり、これからもずっとレンを護り続ける。
パテル=マテルよ、永久に。
合 掌